二十代の頃、いつも自分のポケットや鞄の中に入れていた可愛い本があります。
久保田万太郎句集 「こでまり抄」
成瀬櫻桃子編 (ふらんす堂)
小説家・劇作家 久保田万太郎は浅草生まれ。
生粋の江戸っ子として伝統的な江戸言葉を用い駆使して滅びゆく下町の人情を描いた多くの作品、舞台を残しました。また俳誌「春燈」を主宰し文人俳句の代表作家としても知られました。
私は、作品や舞台は勿論のこと、万太郎の哀しく愁いある、ひとりごとの句にとても惹かれました。
その万太郎の「ひとりごと」に惹かれて、持ち歩き読んでいたのがこの「こでまり抄」です。
神田川祭りの中をながれけり
竹馬やいろはにほへとちりぢりに
さびしさは木をつむあそびつもる雪
月の雨ふるだけふると降りにけり
万太郎は邦楽界にも縁が深く、長唄「みやこ風流」を作詞し長唄に名曲を残しました。
中でも長唄の名人 七代目芳村伊十郎師や山田抄太郎師は、よく万太郎の家を訪れたと言います。
ある日、万太郎が「こんな小唄を作ったんです」と遊びに来ていた抄太郎にスラスラ書いて渡すと、それを読んだ抄太郎が、ちょっと考え、三味線を持って来てもらい、少し試しに弾いてみたりしたあと、うなずいて、即座にこの新曲に手をつけたと言う。
智恵の輪の ちえでぬけずに
ひょっくりと はずみでぬけし
面白さ だからさ
この様にして、万太郎が作った多くの小唄の殆どが抄太郎の作曲で、小唄にも数多くの名曲を残し、今も人気曲として唄われています。
妻、子に先立たれていた万太郎は、晩年何度かの入院をしている。その時にずっと病床に付き添っていた女性がいた。その女性も亡くしてしまう。このあと、万太郎の嘆き悲しむ姿を近くにいる人間は正視できなかったという。
湯豆腐やいのちのはてのうすあかり
万太郎の代表句である。
この句を詠んだ五ヶ月ののちの急逝。
小でまりの花に風いで来りけり
久保田万太郎
iPhoneから送信
2023年05月07日
2023年05月06日
邦楽サロン ゴールデンウィーク特別講座

今日で、5日間のゴールデンウィーク「邦楽サロン特別講座」を無事に終える事ができました。
今回は、各回、各分野の実演家、研究者の方々にお運び頂きまして、長唄、能楽、民族芸能の中にある「道成寺」や「翁 三番叟」、「隅田川 賎機帯」の物語を演者側から観た世界のお話しや実演を芸談と共に伺い、大変贅沢な時間を皆さんと過ごす事ができました。
僕のお弟子さんも今回多数参加してくれまして、帰りには思いがけない感想をもらって、これからのお稽古の課題をもらった様に思いました。
とても充実したいい時間になりました。
ありがとうございました。
ご協力頂きました先生方、貴重なお話をありがとうございました。
また、この様なサロン、講座が開ける様に頑張ってまいりたいと思います。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
iPhoneから送信
2023年04月26日
雨宿りに
2023年04月23日
世界アースデイ 「こけし浄瑠璃 はなこのおむこさん」


2011年、日本には東日本大震災が起こり、アラブには「アラブの春」が起こりました。
今回、アースデイ自由ヶ丘2023特別プログラムとして、桜井真樹子さんの作品「こけし浄瑠璃 はなこのおむこさん」に参加出演させて頂きました。
津波にのまれて亡くなったはなこと、アラブで命を落とした青年が、冥界(あの世)で結ばれる物語。アラブと東北の歌が二人の幸せを願って冥界結婚式で歌われます。
昨年の秋、梅田まりあさんのコーディネートにより東北、南三陸の取材旅行に行きました。震災の跡に立ち、また地元の民謡や言葉に触れて、この作品と向き合えたことは大変幸せなことでした。
桜井真樹子さん、長唄作曲、演奏の浅吉さん、ダラブッカ、レクの立岩潤三さん、制作の梅田まりあさん、そして、南三陸でお世話になりました菅原さんはじめ、多くの皆様に感謝申し上げます。
ありがとうございました。
昨夜は、なんだか随分と緊張していたのか、本番は私、色々やらかしましたがお許し下さい!(笑)
素敵な時間をありがとうございました。
iPhoneから送信
2023年04月14日
4月 下北沢「庭村の邦楽サロン」




スタートは、今回ゲストの洋月さん(一恵ちゃん)の相撲甚句での登場から始まり、民謡、さのさ、都々逸、端唄、小唄、長唄と洋月さんの明るく優しいエネルギーある演奏とお話しは、会場のお客様を笑顔に変えて、素敵な時間を演奏者とお客様と共有することができました。いやぁ、親友の一恵ちゃんのパワーは凄かった(笑)
いつか一緒にまたやりたいなぁと思いながら十数年経って、自然な流れと言うか、お互いが引き合わせての会となりました。
お帰りになるお客様も皆さん楽しかった!凄いエネルギーもらいました!ありがとうございました!と言うお言葉を沢山頂いて、本当に嬉しかったです。
一恵ちゃんありがとうございました!
本日のプログラム
端唄 相撲甚句
さのさ 「花づくし」「ぽつりぽつり」
都々逸 「三千世界の」「お前来ぬ日は」
民謡 ソーラン節
小唄 「佃流し」 「君は花かや」
「蛇山」
端唄 「木遣くずし」
長唄 「都風流」
俗曲 「たぬき」
民謡 「正調博多節」
ありがとうございました。
iPhoneから送信
2023年04月12日
久しぶりに
2023年04月03日
4月 下北沢 邦楽サロン
2023年04月02日
御一日


今日は、御一日だったので舞台の前に、父と、亡くなった友人のお墓参りへ行った。
亡くなった友人のお墓が何処にあるかわからなかったのですが、先日、仲間と食事をした時にその話しをしたら、知ってるよと教えてもらった。不思議な事に谷中の僕の稽古場の裏のお寺だった。
こんなことがあるのかと、そんな話しをしてお参りして来ました。
このところ忙しかったせいもあるのか、花粉症もあるのからなのか、身体が疲れている様だ。仕事帰りに食材を買って、今夜は「鳥のニンニクスープ」を作った。
疲れている時はこれが一番だ。
鳥の手羽元、ニンニク、椎茸、青梗菜、ネギ、生姜を入れてコトコト煮る。
天日塩と胡椒で味を整えて、器に入れたら最後にオリーブオイルを少し。
身体に優しいスープです。
明日は地方で演奏会。来週も演奏会が続きます。頑張らねば!
iPhoneから送信
2023年04月01日
打ち合わせ
2023年03月19日
三月 下北沢 庭村の邦楽サロン




チチポポと鼓打とうよ花月夜
松本たかし
春、桜が咲き初めるといつも思い出す、好きな松本たかしね句です。
昨日は、今年初めての邦楽サロンでした。
今回は、サロンで人気の高いゲストお二人、長唄三味線方 杵屋彌太郎さんと囃子方の望月左太寿郎さんを、そして名古屋から、大学の同級生であり心友の杵屋見佳さんを迎えて「島の千歳」「助六」を皆様にお楽しみ頂きました。
島の千歳は、以前、このサロンで「白拍子の世界」と題して、白拍子の桜井真樹子さんをゲストにお迎えして、白拍子について、また長唄の島の千歳の歌詞の中にある「水の猿曲」の事など貴重なお話しや実演を頂いておりましたので、私としては、今までと違うとても充実した再演となりました。
見佳ちゃんと二人して演奏するのは20数年振りだと思います。顔見れば昨日の事の様に時間が戻りますから不思議なものです。見佳ちゃんの三味線と左太寿郎さんの鼓の音も重なりあってお客様も大変喜んで下さった様で嬉しかったです。
助六は今回、先輩の彌太郎さんに何回も浚って頂きました。贅沢な合わせをさせて頂きました。
鼻水グズグズの助六で、やはり、とても粋や男伊達の色気には程遠いものとなりました(笑)お恥ずかしいばかりでした。
春の宵、とても穏やかな時間の中でサロンがスタートできました。
今年も宜しくお願い申し上げます!
ありがとうございました。