早いもので、父が亡くなって十三回忌を迎える。あっと言う間だった。法要を行う菩提寺の本堂でお経を聴いていると、生前の父の声を思い出した。「俺が死んだらこの坊主にだけには、お経読んでもらいたくない。」父の葬儀の折は、そのお経の酷さに会場から笑いが起こった位で、初七日には余りにも父が可哀相だと母が代々ご縁のある他のお寺の和尚人様に改めてお経を頼んであげてめらった位だった。その時のお経の尊さに家族、親類皆、感動して泣いたのを覚えている。久しぶりに聴く酷いお経で、そんな父の言葉を思わず思い出しながら、相変わらず野太鼓の様にペコペコと機嫌をとるだけで、まるでカラオケの様なお経を聴きながら、親類縁者皆、自分の目の前にある小木魚を取って、そのお経を妨げるかの様に、住職の打つ木魚の音を外して打つているのが可笑しくて思わず笑ってしまった。その何とも尊いお経の後の説法は、父の名前は間違うは、十三回忌が十七回忌になったりと惨憺たるもので…。母も親類縁者皆、慣れたもので「本当に有り難くないね、ひどすぎるよ。」など
と只々、呆れかえるばかりだった。さぞ父も「もう辞めてくれ、いい加減にしろ!」と怒っている事だろう。
坊主 、野太鼓と化し
秋の経
2010年11月06日
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