今日は、懐かしいものが出て来ました。
学生時代に、下宿先の坂下、千駄木の団子坂下に画商の森さんと言うおじさんがいました。
絵を観ることが好きだったので、暇にまかせてよくふらりと寄っては、森のおじさんに多くの画家の作品を観せてもらい、絵の事を教えてもらいました。
印象に残っているのは、熊谷守一や棟方志功、芹沢圭介の肉筆や木村荘八の油絵から濹東綺譚の連載挿絵の肉筆原画集、北村西望、津田清風の書、そして、名の知れぬ、名の無い画家の名品など、貴重なものを、手に取らせてもらい、間近で観させてくれました。あの経験は、今の僕には財産となっています。
丁度、少しづつ舞台に出させてもらえる様になった頃、いつもの様に森のおじさんの所に寄って絵を観せてもらったり、舞台の話しからか、泉鏡花の話しや新派の話しをした事がありました。
ある日、おじさんが、「貴方が持ってたら活きるるだろう、持っててもらいたい物がある」と風呂敷に包まれた箱を渡されました。
広げてみると、「婦系図 緑郎」と箱書がしてありました。
話しを聞くと、新派の名優 喜多村緑郎が泉鏡花作品であり、新派の名作、そして当り役の「婦系図」の主人公 お蔦と主税の二人を喜多村が俳句で詠書したと言う貴重な二軸だった。喜多村の独特ではありますが、とても流麗な筆と句は素晴らしいものです。
それから、これは託された大事な物と、実家へ持ち帰って、自分の部屋の奥にずっと蔵いっぱなしで、すっかりと忘れてしまいました。
最近、不思議なことに、鏡花の作品を読むことや小唄を唄うことが多くある様になり、今日、部屋で鏡花全集を探していたら、出て来ましたよ!
おじさんに託されたことを感じました。
自分の表現の世界で何か、この軸が活きる様に、皆様に観ていただける様に、企画を考えて行きたいと思います!
どうぞ、ご期待下さい!
2024年09月18日
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